買いドキ

――あなたは何を求めてパチスロを打つ。

刺激的なゲーム性、大量出玉、勝利の喜び、乳揺れ、幼女ブルマ、女性声優さんの「ガチンコ」というボイス…などなど、それは人それぞれ千差万別、十人十色だろう。

私はというと“ドキドキ”だ。足早にホールに向かうのも、力強くレバーを叩くのも、目を血走らせてリールを止めるのも、息遣い荒くサンドにお札を投入するのも、情熱的にATMのドアを開けるのも、全ては胸の高鳴りを得るためだ。私はパチスロを打って、ドキドキを買っていると言っても過言ではない。

何故、私がそこまでドキドキを求めているのかというと、きっと日常生活にドキドキがないからだろう。階段を上り下りしたときや、アクロバティックにアダルト動画を鑑賞したときぐらいしか、胸をドキドキさせる機会のない寂しい人生を送っている。

ちなみに私は競馬すると高確率で大金を突っ込むのだが、それもドキドキを得るためだ。

この日の結果は－20万円ぐらい。

さて、これは先日の話。ふらりとホールに寄ってみると、朝イチ50Gでボーナスに当選して、連チャンすることなく300Gハマってヤメ。そんな『沖ドキ!』が目に入った。設定変更後にチャンスモードに移行して、現在、通常Bに滞在…という可能性が脳裏を過ったのだが、それは設定変更していることが前提だ。

正直、ここのホールの『沖ドキ!』は全リセしているとは思えない。そして、前日は連チャン後にヤメている。もし、据え置きなら、まだ通常Aに滞在している可能性が高い。通常B狙いをするなら、もっとホールと台を厳選したほうが良いだろう。「通常Bの可能性がある」ではなく、「通常Bの可能性大」と思える台を攻めたほうが良いだろう。従って、

この台は打つべきでない。

そう考えるのがベターだと思うが、私は『沖ドキ!』と対峙してレバーを叩くことを選択した。それが私の求めているパチスロだから。それが私の正解だから。それがドキドキだから。

通常Bかもしれないが、通常Aかもしれない。通常Bなら連チャンするかもしれないが、通常Aならヤメられない地獄が始まる。期待と不安に挟まれたサンドウィッチ状態、これが最高にスリリングで堪らないのだ。

そして、打ち始めて20K投資したとき、ようやくハイビスカスが咲いた。特殊点滅や特殊テンパイ音を期待したが、どちらも通常のまま。さあ、モードはどこにいる、運命の32Gが開催だ。

1G回して、父のため。2G回して、母のため。回し回されて、カーニバル。10G回してもハイビスカスは咲き乱れない。もし32Gを抜けたら、どうする。通常Bを信じて打ち続けるか、それとも無理はせずにヤメるか。

11G、12G、13G…、まだ光らない。まだ答えも出ない。だが、決断の刻は迫っている。どうする、どうする、どうする、この葛藤が堪らない。このドキドキが堪らない。

18G目にペッカリンコ。チェリーを引いて、ハイビスカスが花開く。状況的に考えると、天国以上滞在中のチェリーでボーナス当選だろう。よかった、よかった、よかった。きっと通常Bにいたのだろう、一発で天国以上に上がったのだろう。

このドキドキから解放されたときの安堵感も堪らない。そう、ドキドキは始まりも終わりも最高なのだ。

ここからは何連するかという、違うドキドキの始まりだ。ときどき、ドキドキに移行していることもあるから、ドキドキが止まらない。

本当にドキドキに移行したかもしれないとドッキドキ。既に1000枚以上獲得しているのでプラスは確定。あとはどれぐらい出玉を増やせるかという勝負…なのだが、差枚プラスになった途端に勢いは止まって連チャン終了。結果は＋3.5Kと微妙だったが、金額以上のドキドキを得られたので満足だ。

私はパチスロマンチスト、ドキドキを求めて今日も打つ。約束された勝利などクソ喰らえ、パチスロは勝つか負けるか判らないから楽しいのだ。

ごめんなさい、嘘をつきました。ドキドキよりも約束された勝利が欲しい。最近、大きく負けすぎなのでガッツリ勝ちたい。勝たせて欲しい。

『HEY! 鏡』を打ってAT非当選RUSH、ジェットの勢いで負債が膨らんだ。一応、6回目のJBでATに当たったが、焼け石に水だった。

あと、プライベートもドキドキがいっぱいだ。将来に不安を感じてドキドキの毎日を過ごしている。