取らぬスロ屋の皮算用・元クズ田中
記事一覧へ公開日: 2017/02/16
パチスロ必勝ガイドにてスロ屋を作るまでの経緯をつづった『田中、スロ屋作る』という連載をやっていたが、しばらく前からスロ屋作りそのものがストップしている状態のため、2月14日の発売号をもって連載を終了することとなった。
まあ、1ヶ月も前から僕はすでにフィリピンにいるわけで、終わって当然というか、編集部から3月で終わりと言われたところを僕のわがままで2月に早めてもらったというのが実情なのだけど、そんな内輪の話はさておき。機会があれば連載のどこかで触れようと思っていた『月間の利益見込み』について書く場がなくなってしまったので、ここに書いてみようと思う。
仮に総台数150台、5.6枚交換の小規模なスロット専門店をオープンさせるとしよう。月間トータルでかかる経費は、新台を導入する金額を抜きにして、約1000万円(家賃や人件費を含む)。新台入替はしないと仮定した場合、いったいどのくらいの稼働があれば店は回るのだろうか。
※ここにスロ屋オープンっぽい画像を貼ろうと思って30分くらいチャレンジしましたが、雨が降ってフィリピンのwifiが遅すぎるので、画像があるものとしてお考えください。
それを算出するにはまず、利益率を設定しなければいけない。一般的に全台設定1で営業をしているようなぼったくりホールの利益率はだいたい30%といわれている。明らかに出ている激アツのイベント日などは利益率10%を切るようだけど、とりあえず普通にぼちぼち出ているなと感じる利益率だという15%に設定したとしよう(これは機械割の平均が85%という意味ではない)。その場合に月間で純利益がプラスになる稼働ラインというのは約2割。ざっくりいうと、常に10台中2台の稼働があるような状況であれば、店はなんとかプラスで回るわけだ。
もちろんこれは理論上の話であって、毎日、設定1がまったく稼働せずに設定6のみフル稼働になるような状況であれば変わってくるし、設置している機種のコイン単価によっても変わってくるが、平均として2割の稼働があれば、このケースにおいておおよそ店はプラスになる。これが2.5割稼働であれば月間200万円以上、4割の稼働であれば純利益は月間700万円を超える。
まあ、閉店間際の時間帯も含めたうえで平均4割の稼働というのは実際問題、非常に難しいはずだが、仮に4割稼働を維持できれば、たった150台ぽっちのスロット専門店だって年間1億円くらいは利益が出る。そうすれば日常の利益率を15%から12%に下げてお客さんに還元しても余裕でやっていけるようになり、設定が入っているものだからさらに稼働が安定するという好循環がうまれるわけだ。
実際、僕も試算で上がってきたこの数字を見て、スロ屋稼業ってなんてボロい商売なんだと、楽勝じゃないかと思ったわけだけど、恐らく現実はそんなに甘くはない。なぜなら、これは新台入替をしないことを前提とした数字だからだ。
たとえば、平均2.5割の稼働があって、月に200万円の純利益が出たとしよう。この金額で購入できる新台は5台か、下手すれば4台。1ヶ月にたった5台しか新台入替をしないなかで、近所のお店が毎週のように話題の最新機種を新台として大量導入したらどうなるか。多少、設定が悪くたってお客さんは他店の新台に流れて、月の稼働が2.5割から2割にまで下がってしまう。2割にまで下がったら月間収支はほぼトントンになるので、今度は新台を1台も入れられなくなる。新台を入れられないとさらにライバル店に客を取られ、稼働が下がった結果、なんとか残った少ない稼働で店を回すために、今度は15%だった利益率を20%、25%へと上げていく。ほら、ぼったくりホールの出来上がりである。
これぞという台以外は新台入替をせずに、できるかぎり高設定を入れて、お客さんとの日々の駆け引きを楽しむようなホールを作ればいいじゃないか。なるほど、ライバル店が周りになければそれでやっていけるだろうが、群雄割拠の客取り合戦が繰り広げられるこのご時世。ライバルは確実にこちらの弱点を見抜き、急所めがけて一撃で息の根を止めにくる。
スロ屋作りになんてかかわるもんじゃない。打ち手のままでいて、あの店はクソだ、この店はゴミだと無責任に言っていたほうが、よほど気がラクじゃないか。
これを書いていて心からそう思ったが、スロ屋作りに関してはいつ呼び出しがあるやもわからぬ待機中の身。明日は我が身ということで、人様の店をクソだゴミだと罵倒するのは金輪際ヤメにする。心の中でそっとバツをつけるだけにするので、どうか皆さんも見た目だけの印象で攻撃的にならないでねと、いつかくるかもしれないその日に向けて、念のため予防線を張っておく。
本当に良い台だけ、ほしい台だけを買いたいときにしっかり買えるのであれば、新台入替なんて数ヶ月に一度でいいと思うんだけどな。
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