読めない相場・元クズ田中
記事一覧へ公開日: 2017/05/26
相場と聞くと、株式投資や為替、先物取引といったものが真っ先に思い浮かぶ、自分の人生にはなんら関係のない言葉のように思えるが、もう少し視野を広げてみれば、僕たちはいつだって相場を意識しながら生きている。
引っ越しをするときは、この地域でこの広さなら、だいたい家賃はこれくらいだろうと考えるし、中古車を買うときだってそうだ。ある程度、自分の予想と照らし合わせても大きくハズれないからこそ相場は成り立っているのだと思うが、先物取引で大損する人がいたり、トランプ相場に乗って大儲けした人がいるように、相場は完全に読み切れないからこそ魅力があるものだと、そうも思うわけだ。
先月、日本に帰国していた際に、久しぶりにパチスロを打った。3ヶ月ほどスロから離れてはいたものの、最新機種の機種仕様や解析情報というのは定期的にチェックしているので、おおよそ、その台がどんな台かというのは打たなくても想像はつくのだけど、予備知識もそこそこに打った『押忍!番長3』は、思いのほか面白かった。
規定ベル回数が32回を頻繁に超えていたので設定はさほど良くなかったのだろうが、それでもハマった末に引いた通常BBを機にARTに突入したかと思うと良いタイミングで対決が連チャンし、ART中のBBにも小気味よく当選する。飲み会までの暇つぶしで、めぐり合わせとヒキだけで2000枚もでれば上出来も上出来。もっと打ちたいと後ろ髪を引かれながらフィリピンに戻ったのだから、『押忍!番長3』の中古機価格が1台90万円と聞いても、驚きはしない。需要があれば相場も高騰する。ジャグラーシリーズは導入後にほぼ間違いなく中古機相場が100万円を超えるのだから、多めに新台で導入しておいて2週間後に早々と売り払って利ざやを稼ぐという錬金術が成り立つのだろうし(もちろんメーカーは容認していないが)、ボーナスタイプの価値が見直されたことにより、バーサスがここにきて40万円を超えたことだって理解できる。まあ、スーパーリノMAXが110万円というのはちょっといき過ぎのような気もするが、正規の販売ルートであり、かつ、その料金であってもほしいという人間がいる限り、文句を言う筋合いはない。田原俊彦のディナーショーが4万円であっても、メシを食いながら「抱きしめてTONIGHT」を聴きたいおば様は大勢いるのである。
まあ、それはさておき、番長3で快勝を飾ったあとに勝ち金を握りしめて友人との飲み会に行ったわけだが、そこで、いよいよ結婚することになりそうだと告げられた。地元の近しい友人のなかで、いまだ独身なのは僕とそいつくらいのもの。良かったなあと、乾杯してひとしきり近況を聞いたあと、僕の話になった。残るはお前ひとりだけど、大丈夫なのか、と。
たしかに仲間内では最後の独身。ラスト独身ではあるが、それを貫くつもりもない。きっとそのうち、28歳くらいの無口だけどエロい、唇が印象的な色白でショートカットの女が現れるだろう。献身的なその子はフィリピンだ日本だと好き勝手に行き来する僕のことを大きな母性で包み込み、いろんな面で献身的にサポートしてくれることだろうと、タイムサービスで半額のハイボールをぐいぐいやりながらそんな話をしていたら、友人の顔が急にマジになった。お前、まだそんな夢みたいなこと言ってんのかよ。オレだっていまがベストだとは思ってないけど、覚悟を決めたんだ。そろそろ現実と鏡をみろよ、と。いわく、僕のように自身を省みず理想ばかり語る男は、誰にも相手にされず寂しい老後を迎えて最後には孤独死をするものだと、相場が決まっているらしい。
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