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元クズ田中

クリスマス

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公開日: 2019/12/20

メリークリスマス。コンビニで飲み物を買うと、タクシーに乗ると、銀行の窓口でお金をおろすと、フィリピン人が笑顔でそう伝えてくれる。そうか、もうそんな時期なのか……。

 

9割以上がカトリック教徒といわれるセブの人たちにとってのクリスマスは、日本のソレとは少し違い、神に祈りを捧げて、家族でお祝いをする大切な日。毎年、9月1日にはショッピングモールでクリスマスの飾り付けが売られ始め、2月までツリーは出しっぱなしと、まさに1年の半分がクリスマスなわけだが、12月であろうと日中は30度を超える常夏の国ということもあって、季節感などという言葉とは無縁である。

 

 

※8月31日まではそんな気配がまったくなかったのに、9月1日になった瞬間に一斉にクリスマスがスタートする。ちょっと気が早いって…… 

 

 

そんなこともあって、ここにいると年末という感じが一切しないのだけど、カレンダーに目をやると、あと10日ほどで2019年も終わりを告げようとしているではないか。

 

 

※この時期になると自称サンタクロースが多数出没する。急に事務所に入ってきたサンタクロース。子どもたちは嬉しそうに群がっているけど、どこの誰なのかはまったく知りません

 

 

今年は僕にとって、これまでで最高の1年だった。いや、まだ10日も残っているので油断はできないが、NPO法人の活動がひとつ上の段階に進んだ実感があるし、日本公演も無事にやり遂げたし、NHKの密着もあった。日本公演を終えて若干、燃え尽き症候群になったりもしたが、次に進むべき道がなんとなく見えてもきたし、個人的なところでいうと、パチスロは(収支なんてつけちゃいないが、恐らく)年間勝ち越したはずだし、サイトセブンの『マネーの豚』では決勝までいけたし(決勝で負けたけど)、大きな病気もしなかった。

 

まあ、良いときもあれば悪いときもあるのが人生なんだろうから、きっとこのあと、ガクンと落ちることもあるんだろうけど、38歳になってなお人生最高の1年が訪れたというのは、今後、生きていく上での励みになる。

 

この、季節感のないセブから極寒の日本へ戻った瞬間、一気に年末感が湧きあがる、あの感覚がたまらなく好きだ。毎年参加しているパチスロ必勝ガイドの忘年会。一次会が終わって二次会までの待ち時間。外で震えながら世間話をしているあの時間が好きだ。

 

僕は誰も見たことのない景色を見たいんです。

 

人生のモチベーションを聞かれ、日本で会社経営をしているお金持ちのオジさんはそう答えた。

 

世界の大富豪と肩を並べ、高級車に乗り、毎晩のようにパーティーをする。そんな憧れもたしかに大きなモチベーションになるのだろうが、僕は平凡な生活にこそ憧れる。パチスロで粘りに粘って6000円勝ち、そのお金を握りしめて大衆酒場へ行くような。気心知れた仲間としっぽり飲み、狭いながらも心休まる我が家へ戻るような、そんな生活に憧れる。

 

キッチンにいるスタッフがコーヒーを淹れる手をとめて、BGMのクリスマスソングに合わせて踊り始めた。

 

メリークリスマス。僕の幸せは、いつだって手をのばせば届く、すぐそばにある。

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