忙しい僕ら

初日はとにかく落ち着きませんでした。連絡先や仕事のデータ、その他諸々はどうなるんだろう。こうしている間にも誰かから連絡がきていいるかもしれない、仕事を取りこぼしてしまっているかもしれない。などと様々な考えが頭をよぎって、いてもたってもいられませんでした。
2日目は動きました。初日のそれが夜でしたから、一刻も早く復旧させるべく朝から動きまわりました。それでも、2日目に復旧させることは叶いませんでした。
3日目はなんだか慣れてきました。無いなら無いで別にいんじゃね？ 昔の人はそれで生活が成り立ってたんだし、そもそも俺だって10代半ばまでは持っていなかったんだから無くても生きていけるんじゃね？ と、それが無い生活に慣れてきました。
4日目は伸び伸びしていました。まるで手錠をかけられているかのように肌身離さず持っていたそれが数日間なくなっただけでえも言われぬ開放感を覚え始め、同時に、自分の時間が自分だけのために流れることの尊さを感じました。
5日目は、それでもやっぱりなきゃダメだと、Apple Storeに行きました。やりかけの仕事だってあるし遠征先のホテル情報や飛行機の確認番号だってiPhoneの中だし、連休も明けて本格的に仕事モードに切り替えなきゃいけないしで、沖縄時間のようにゆっくり流れていたアナログ時間はもう終わりだと、Apple Storeに行きました。すると、あっという間に元どおり。iPhoneが手元に戻ると同時に、またしても僕はiPhoneと言う名の手錠をかけられることになりました。

1/4にiPhoneを水没させてしまい、当初は年明け早々とんだ災難に見舞われたななどと思っておりましたが、それはそれで良かったのかなと、本当の意味でゆっくりできたのかななんて、今となってはそう思えます。
無意識のうちにスマホを手にとり、無意識のうちにネットニュースやSNSを開き、無意識のうちにいらぬストレスを抱え込むこんでしまうこともある現代社会。いつ、誰とでも繋がることができるという機能は便利な反面、本当の意味での自分の時間というものがどんどん削られているようで、そういったものに対するある種の気持ち悪さは日頃から感じていました。

今回の一件でさらにそれを感じ、便利と不便は常に表裏一体なんだろうなと思った次第です。昔はウォシュレットなんて無くて当たり前だったのに、それに慣れてしまうとウォシュレットが無い時にお尻が気持ち悪くて仕方ないもんね。ちょっと違うけど。

もしかしたら、人類はこれ以上便利になる必要はないのかもしれません。むしろ、田舎や発展途上国に移住する人が多いように、便利になりすぎた世の中を不便に感じている人も多いのかもしれません。起きて半畳寝て一畳とはよく言ったもので、人が生活していく中で本当に必要なものなんてたかが知れています。

ですから皆さん。新年早々ブログの更新が遅れた理由にはこういった様々なドラマ、葛藤、紆余曲折があったわけで、決してサボっていたわけではありません。壮大なる言い訳と共に、本年もどうぞよろしくお願いいたします。