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元クズ田中

結婚前提戦士、セブへ(元クズ田中)

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公開日: 2016/12/08

幼馴染に末廣という男がいる。よく、コラム等で自分が、マブの名前で紹介しているのでご存じの方もいるかもしれないが、幼稚園から同じの、いわゆる腐れ縁というやつだ。

 

こいつは身長が185センチあってスラっとしていて、やさしさの塊のような男。やさしすぎて物足りないという同じ理由で、三連続で女にフラれた彼は自分の8年をはるかにしのぐ12年間、彼女のいない生活を送っていたのだけど、ゴルフ会で同組になった同じ会社の女と意気投合。とんとん拍子で話は進み、あっという間に結婚前提戦士へと昇格することとなった。

 

そんな彼が、会社の旅行でフィリピンはセブ島へ来ることになった。セブといえば言わずと知れた僕のホーム。同じタイミングで彼女もセブへ来るようで、ふたりではじめての海外旅行が不安になった彼は、僕にこう言った。

 

英語もわからない。海外にきたこともない。こんな状況で情けないところをみせたら、彼女に愛想をつかされるかもしれない。お願いだから一緒に行動して、フォローしてくれないか。

 

初もうでのお願いは毎年、「世界人類が幸せでありますように」の、博愛主義を絵にかいたような自分であるからして、もちろん彼の願いをきいてやりたい。最高のセブをプロデュースして、結婚への加速装置としてほしい気持ちはある。だけど、こちとらついこの間も地獄のようなフラれかたをした、フラれたてほやほやの身である。なんでオレが他人の幸せをアシストしなきゃいけないんだと、そうも思うわけだ。

 

誰しも、心にひとりずつ、中村紀洋を飼っている。年中無休でおげさまですと殊勝にいられるわけではなく、油断をしたらすぐに黒ノリが顔を出すのが人間というもの。だいいち、世界人類がみな、幸せでなんかいられるわけがないのである。

 

スロだって、そうだ。お店にいる全員が勝てればもちろんいいが、現実的にそれはあり得ない。勝つ人間よりも圧倒的に多くの負ける人間が必要なわけで、極論すれば、誰かの不幸の上に、自分の幸福がある。この世はイス取りゲームなのだ。

 

じゃあ、アレか。オレが地獄のようにフラれたのは、お前が幸せだからなのか? クランキーセレブレーションの据え置きを狙ってこっぴどく負けたのは、前日に出し過ぎたお前のせいなのか? オレがさみしさに涙しているそのとき、お前は誰かと楽しくパーティーをしていやがるのか?

 

人はこうやって人を信じられなくなり、気がつけば隠れてトリカブトを栽培したりし始めるのだ。

 

だけども、僕だって理性をもった人間なわけで、30年来の友人、その足元をすくうようなことはしたくない。そうだ、いつだったか僕が落ち込んでいたときに、あいつは励ましの言葉をかけてくれたじゃないか。僕がデルソルを打ちたいと言ったとき、あいつは消費者金融に駆け込んでくれたじゃないか。

 

僕は鬼ではない。というわけで、男の客のときだけ下半身をまさぐってくるマッサージ屋にふたりをつれていき、彼と彼女とを、カーテン1枚で仕切られた隣の部屋にあてがって、英語の話せないマブがいったいどうやってその場をしのぐのか。それくらいの仕打ちで許してやることにします。

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