イライラポイントの貯め方(元クズ田中)
記事一覧へ公開日: 2017/01/19
2015年まで約4年間住み、2016年だけでも10回以上渡航しているが、飛行機の扉が開いてボーディングブリッジに足をかけたときに、ムワッと顔を撫でる生暖かい風と共に流れてくる甘いニオイを嗅いだ瞬間、帰ってきたなと安心する。
インフラが整っていない。マナーなんて言葉は存在しない。トイレに行ってもまず間違いなく紙がない。この国は日本と比べていろんなものが足りていないが、それを補って余りあるほどのパワーと、時にうっとうしいほどの人と人とのかかわりがある。
まずもって、日本人同士のかかわりがそうだ。昔、ガイドスタッフみんなが同じ駅に住んだら、毎日のように同じ店で打って同じ店で飲んで、きっと楽しいだろうなと考えたことがあったが、セブという小さい島は、まさにそれと同じ環境。どこに行ってもメシ屋のオーナーはだいたい仲間か友人か知り合いだし、必ず誰か知った顔が飲んで騒いでいる。駐車場に停めてある車種を見るだけで誰がどこにいるか筒抜けになるもんだから、おちおち浮気もできないと、何度となく嫁に浮気がバレて、それでもなお浮気に精を出すロクデナシのオヤジがそう嘆いていた。
フィリピン人女性と付き合ったことがないので知らないが、人に聞いたところによると、フィリピン人女性というのはメシを食うのもパンツを履くのも、自分ではなにもしなくてもトイレ以外はすべてやってくれるほど尽くすんだそうだ(まあ、人と、付き合っている期間にもよるんだろうが)。
※画像はマリブ鈴木ではなくバナナ売りのフィリピン人女性です。
そんなことばかり聞いていると、もう一生、フィリピンに骨を埋めるつもりで滞在してもいいんじゃないかという気持ちにもなるわけだ。馬に舟にチャリにバイクに。日本の公営ギャンブルはどこにいようがネット投票ができるし、バカラにブラックジャックにルーレットなどカジノは24時間開いている。ぱちんこ、パチスロを実際に打つことはできないが、打てる環境にあって打てないのではなく、そもそも物理的に打てないのだから割り切れるし、どうしても打ちたければ大きいメーカーの台なんかは携帯のアプリでいくらでも打つことができる。
酒も安いし海もある。一年中、短パンとビーサンで過ごせると、まさに言うことなしに思えるが、怠け者で南国の風が肌に合っているといっても、やはり根は日本人なのだろう。些細なことでイライラポイントが貯まっていき、それがいつしかマックスに達したとき、目の前にいるフィリピン人を怒鳴り散らして、いますぐ日本へ戻りたい衝動に駆られることもこれまでに何度もあった。
とはいえ、1月17日にフィリピンにきてまだ3日目。今回は長めの滞在ということで友人に貸してあったバイクを一時的に返してもらい、せっかくだからとウキウキ気分でバイクのメンテナンスをしてもらいに行き、必要があればすべて交換してくれとだけ伝え、携帯ゲームをしながら待っていたわけだ。
大卒でも月給は25000円程度。高卒だと固定給のある職に就くことすらままならないフィリピンの就職事情。とにかく人件費が安いためバイクのメンテも前から後ろから二人がかりなわけで、これは安心だと再び携帯ゲームに没頭していたら、サー、終わりましたと声をかけられた。
すり減っていたブレーキパッドを替えました。オイルを新しいものに替えました。バッテリーも替えました。タイヤに空気も入れました。
うんうん、よくやったじゃないか。そう思ってチップを渡そうとしたら、男はこう続けた。
シートをいままでのものから、かっこいいエナジードリンクのモンスターのものに替えておきました。ウインカーはいろんな色に変化して光るクールなものに替えておきました。
そう言って、ドヤ顔で親指を突き立てた。そんなの誰が頼んだよ……。
イラっ。
たしかにイライラポイントは貯まったが、まだまだフィリピン3日目。まあ、良かれと思ってやったことだし、いいじゃないか。そう思ってそのままバイクにまたがり事務所に行くと、事務所の前で露店を出しているオヤジが、電線に細工してうちの事務所が引いている電気を盗電している最中だった。
イラっ、イラっ。
このペースでいけばいつイライラポイントがマックスになるかわからないけど、DMMぱちタウンでもおなじみの先輩ライターや、回胴界随一のバカと言われている後輩ライターなんかが滞在中に遊びにきてくれるようなので、その模様をリポートしつつ、もうしばらく頑張ります。あと、オヤジ。盗電はイライラとか関係なく、犯罪だからな。
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