保留の先にあるもの・元クズ田中
記事一覧へ公開日: 2017/03/31
まあ、別にいまやる必要はないかと、これまでなんとなく保留してきたものが誰しもあると思うけれど、実際にやってみたら、もっと早くやっておけばよかったと感じることってある。
自分の場合、ひとつはレーシック。まだ歴史の浅い手術だから、10年、20年というスパンでの術後の安全に保障がないだとかいう、いま考えるとだからどうしたという意見に影響されて、かけたくもない、似合いもしないメガネを何年もかけ続けていたわけだが、たまたま紹介を受けると割引になるという機会があり、じゃあやってみようかと8年くらい前にレーシックをやることになった。結果、大正解。それまでメガネなしではハナビの氷すら見えなかったのに、手術をした翌日に目が覚めたときの感動といったらもう。なんでもっと早くやらなかったんだと、そう後悔したのを覚えている。
もうひとつは、タバコ。若いときからずっと日に50本は吸う、わりとヘビースモーカーだったのだけど、学生時代からの惰性で吸っているだけで実際は、なんでこんな煙を吸って、吐いてという謎の行為を毎日飽きもせず続けているんだろうと薄々、感じていた。そんな際にあったとある飲み会でのこと。何回挑戦してもタバコをヤメられないと嘆く先輩に、「そんなに難しいもんですかね。僕、いまこの場で多分、すっぱりヤメられますよ」と宣言して以来、そのまま8年間タバコをいままで吸っていない。これについても、やめてみたらなんのことはない、もっと早くに禁煙しておけばよかったという思いがある。
レーシックはまだしも、とかく喫煙者にとっては肩身の狭い時代である。路上喫煙だ、ポイ捨てだと騒がれていた程度ならかわいいものだが、いまは受動喫煙のように、自分の体からすでに出た後の煙のことまでとやかく言われるわけだ。2020年の東京オリンピックに向けて受動喫煙はさらに規制され、居酒屋はもちろん、パチ屋までも屋内禁煙になるというのだから、別に喫煙にポリシーを持っていたわけでもない僕からすれば、やめておいてよかったと素直にそう思う。
まあ、パチ屋に関しては喫煙所の設置は認められるということで、仮に僕のかかわるパチ屋がこれから動きだしたとして、屋内禁煙を意識した店づくりをするだろうし、タバコが嫌いでパチ屋から遠ざかっている層を呼んでくるチャンスでもある(逆に店づくりしだいでは喫煙者のお客さんを取り込むチャンスでもある)。規制を嘆いても仕方がないわけで、それを逆手にとってライバルに差をつける良い機会でもあるわけだ。
これについても、いずれ始まる規制から目を背け、もう少し、もう少しと保留にして先送りにするよりも、先手を打つことでアドバンテージを得ることができる。やはり、やれることは何事においても気がついた時点ですぐにやるべきなのだけど、そういうことを言うとまた、人には人のペースがあるんだから押し付けるようなことはすべきでないとの意見が出てくるわけだ。
本来であればそういう輩は、「だからお前らはダメなんだ」と、ばっさり切り捨てて前に進むべきだとは思うのだけど、僕だって鬼ではない。人生80年。そんなに急いでどうするんだと。もっとのんびり行こうじゃないかという気持ちだってあるわけで、〆切りを見てみぬふりして飲みにでた結果、丸1日遅れのコラム投稿となったことについては、どうか寛大な心で見逃してほしい。
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