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元クズ田中

自分自身との会話・元クズ田中

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公開日: 2017/07/28

最後にお付き合いをしたのがたしか9年前だったから、それ以来、いわゆる彼女という存在はいない。そう言うと、さみしくないんですかと聞かれることがあるが、さみしいなどという感情を抱いたことは、まったくといっていいほどない。

 

もちろんみんなでワイワイ飲むこともあるし、もしかしたらいつも誰かと楽しくやっているイメージが僕に対してあるかもしれないが、基本的にはひとりが好きだ。フィリピンにいても毎日、仕事が終わったらスーパーに寄り、そのとき飲みたい酒に合わせて食材を選ぶ。家に帰ったらツマミをつくり、ベッドに腰掛けながら満足するまで飲んで、眠たくなったらそのまま横になる生活。人によってはそれを孤独と呼ぶが、僕にとってのそれは孤独ではない。自分がやりたいことを誰にも邪魔されずにできる、至福の時間。

 

僕が、かつてプロフェッショナルなスロッター(スロプロなどというレベルではない)だったときもそうだった。誰かとつるんでリスクを分散することを良しとせず、自分の失敗は自分だけの責任にしたかったというのもあるが、誰ともかかわらず、ひとりで黙って打つのが好きだったし、バックパックを背負って東南アジアを周ったときも、現地で知り合った日本人同士が騒ぐのを横目にみながら、いつもひとりでビールを飲んでいた(人見知りってのもあるけど)。

 

とはいえ、僕はなにも考えずにただひとり心を閉ざして膝を抱えているわけではなく、心の中ではいつも自分自身と会話をしている。今日あったことを振り返ることもあれば、これからの人生について語り合うこともある。僕が正しいと思っている選択を、もうひとりの自分が否定することだってある。自分の中に自分の人格とは異なるもうひとりの客観的な自分がいて、そいつと会話をしているし、そいつは僕にとってのベストフレンドでもある。

 

自分の長所はどこなのか。弱い部分はどこなのか。それを踏まえてどういう生き方をすればいいのか。欲やプライドなどが及ばないぶん、そいつの意見は冷静で的確だ。本田は自分の中にいるリトル本田の声に従ってミランへ行ったが、僕は自分の中にいるもうひとりの僕の声を聞いて、フィリピンへ飛んだ。

 

ひとりがさみしいと言う人に限って、自分自身を客観的に見る目が欠けている。自分と会話をして、自分のやるべきことを、自分の生きる道を探していくべきだ。人生に思い悩んでいそうな顔をする鈴虫君と飲みながら、なにか彼のためになればとそんな話をしたわけだが、ひとしきり黙って話を聞いた彼は、静かにこう言った。

 

田中さん、その話、僕以外のひとにはしないほうがいいですよ。

 

頭のおかしい人だと思われるから、やめたほうがいいですよ。顔がそう言っていた。

 

歴史は夜作られ、人生は自分自身との会話の中で作られる。僕はそう思っているが、果たして鈴虫君の人生はなにで作られていくのか。飲みながらそんなことを考えるのも楽しくはあるが、鈴虫君は人生よりもまず、ゴミに埋もれそうな家の掃除をしたほうがいい。いらないものをちゃんと捨てることで、本当に必要なものが見えてくることだってあると思う。

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