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元クズ田中

なにを数え、歩くのか・元クズ田中

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公開日: 2017/08/05

歩くのが好きだ。初めて訪れた地をアテもなく歩きながら、その地のニオイをかぎ、空気を感じるのが好きだ。

 

アテもなく歩いたその先に、思いがけない出会いがあったりする。住宅街のなかにポツンとあった定食屋の塩サバが抜群に旨かったり、小さな小さな商店街にひっそりとたたずむ100台程度しかないスロ専が優良店だったりする。

 

いまやインターネットを駆使すればだいたいの情報は労せずして手に入れることができるが、こうやって見つけたお店はネット上にほとんど情報が出回っていない、いわば穴場中の穴場。その昔、駅から30分以上も歩いた末に偶然たどりついた100台未満の小規模なスロット専門店は、まさに穴場だった。

 

パッと見、スロ屋かどうかすらわからないその店のお客さんは、近所の年配客と暇つぶしの大学生がちらほら見えるだけ。1機種5台のなかに必ず設定5以上があり、しかも設定変更は前日、前々日にがっちりヘコんでいる台の上げのみ。さらにビッグを引くごとにカードにスタンプが押され、それが200ポイントたまれば好きな台の設定6が打てるというおまけまでついていた(それがまだ許される時代だった)。

 

フィリピンにしても、移り住んだ当初は随分と歩いた。車で通り過ぎる一瞬では感じることのできないものがある。町の雰囲気を感じながら歩き、そこにどんな人たちが住んでいるのか。どんな表情をしているのか。子どもたちはなにをして遊んでいるのか。そんなことを見ながら、異国で生きるということを感じていたわけだが、このたび日本での拠点を移すことに……まあ、簡単にいうと日本滞在時に泊まらせてもらっている家の主が引っ越すことになり、それに伴って僕も新たな地へと移り住むことになった。

 

初めての地は、まず歩くと決めている。大通りからいっぽん内側に入った住宅街を歩きながら、あそこには歴史を感じさせるお豆腐屋さんがあるなあ。この狭い路地を入っていくとなにがあるんだろう。中華料理屋が多いのはなにか理由があるんだろうか。そんなことを思いながら右を見て、左を見て、きょろきょろしながら歩いていたら、声をかけられた。

 

すみませーん、ただいま警戒中なものでして、ご協力いただいてもいいですか~?

 

ニコニコした、それでいて目はまったく笑っていない、年配と若手、二人組の警察官が近づいてきた。いわゆる、職務質問というやつだ。まあ、平日の昼間に、あたりをきょろきょろしながら住宅街を歩いているわけで、怪しいのはわかる。話をしてみると、どうも空き巣の警戒中のようで、彼らの目には僕が空き巣犯に映ったのだろう。肩から下げているミニミニバッグ。ここにピッキング七つ道具が入っていないか調べさせろと、早い話がそういうことだった。

 

まあ、七つ道具なんて持っていないのでチェックしてもらって結構。使う予定もないのに万が一を想定してしのばせていたコンドームを見られたことは想定外だったが、それで潔白が証明されるのならどうぞ、どうぞ。そう思っていたら、普段使わない小さいポケットの中から、いつ入れたのかすらも忘れてしまっていたスケルトンの勝ち勝ちくんが出てきた。

 

「んっ? これはなんですか!?」

 

とたんに表情が険しくなる若手警察官。

 

『い、いや、それは小役を数える道具でして……』

 

「子役を……数える?」

 

『あの、子役じゃなくて小役、ほら、ベルとかスイカとか……』

 

ああ、ダメだ。通じない。住宅街をきょろきょろしている男がベルやスイカを数え歩くって、そりゃ不審だわ。そう思い、長引くことを覚悟していたら、年配の警察官が親指を突き立てながら、言った。

 

あ、勝ち勝ちくんじゃん。お兄さん、やるの?

 

こつこつと地道に小役をカウントしようとする人間が、ラクして金を得る空き巣などに手を染めるはずがない。年配警察官がそう思ったのかどうかはわからないが、その後の追及はなく、無事に無罪放免となった。

 

小役を数えるだけでなく職質時の信用までも得られる勝ち勝ちくんLED2017。ガイドワークスのオンラインショップで購入できるようなので、人相の悪い、職質されがちなあなたはぜひ。

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