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元クズ田中

酔いどれの預言者

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公開日: 2017/10/21

その昔、飲み屋、特にスナックやフィリピンパブで出会ったオジさんと意気投合し、酒の勢いもあって肩を抱きながら歌い合ったり、ひざを突き合わせて熱い話をしていた時期があって、いま考えたらなぜあんなことをしていたんだろうと思ったりもするのだけど(まあ、当時ガイドで連載していた一生瓶という企画のためでもあったのだけど)、出会った時期も場所も異なる複数のオジさんに、「キミは将来、政治家になるよ。そんな目をしている」と言われたことがある。

 

酔っ払いの戯言。その一言に尽きるのだけど、ひとりではなく複数のオジさんに同じことを言われたとなると、その言葉が妙に頭に残る。テレビやネットで選挙の報道をみるたびに、そう言えばとそのことを思いだすが、酔いどれの預言者が言うように、僕はいつの日か政治家を志すことになるのだろうか。

 

個人的に選挙に関しては、投票に行きたきゃ行けばいいし、別に行きたくなければ行かなくてもいいと思っている。よく、投票をしない人間が文句を言う権利はないなどと言われるが、権利なんてなくて結構。僕は投票しようがしまいが、日本の政治に対して文句はいっさい言うつもりはないし、投票した人はどうぞ文句を言えばいいと思うけれど、投票率の低下が嘆かれる日本の政治とは対照的に、フィリピンの投票率はおよそ75%。少しずつ下がってはいるが、それでもいまだ、高水準を保っている。

 

フィリピンの投票率が高い理由は、国民が政治……というかリーダーが誰になるかということに対して(ワイドショー的に)興味があるということもあるが、それ以外の理由がふたつあるように思う。

 

ひとつは、2連続で投票をしなかった場合、以降の投票権がはく奪されるから(再度の取得も可能だが面倒らしい)。なくなると思うと急に惜しくなるのが人間だ。使いもしないモノを、もしかしたらいつか使うかもとなかなか捨てられない人が多い日本人にはこの手法は効果的だとは思うが、選挙権をはく奪するというのは人権的にやや乱暴かもしれないので、日本では非現実的だろうか。

 

もうひとつは、投票すると候補者からお金がもらえるから。選挙期間になるとそれぞれの候補者の金額が判明する。こいつに入れれば400ペソ(約900円)。うちに入れれば600ペソ(約1300円)。正規雇用者の最低日給が約800円の地域でこの金額をもらえるのであれば、そりゃ政治に関心がなくとも投票に行くだろう。もちろん、私はお金なんていらないからこの候補者に投票するという人もいるが、だいたいは政策なんて関係なく、金額の多い候補者に投票するってものだ。商売をしている知人が言っていたが、投票日になると仕事にくるより稼げるからと、従業員がみんな休んで投票に行くので、仕事にならないそうだ。

 

まあ、国民的アイドルもやっているように金があれば票を有利にコントロールできるのかもしれないが、本当にそれでいいのかと、お金がなくとも真に国民のことを考え、行動を起こすことのできる、清貧を地でいく政治家こそが次の世の中に求められているんじゃないかと、そう思うわけで、誰もやらないならオレがやってやるよとの言葉がノド元まで出かかったが、忘れていた。これまでいろんなところで書き散らしてきたクズコラムを掘り返されたら、僕の政治家人生はすぐさま吹き飛ぶ。

 

「キミは将来、政治家になるよ。そんな目をしている」。そう言ってくれたオジさんごめんよ、あなたの予言は当りそうにないや。そんなことを考えながら改めてオジさんの顔を思い出してみたが、そういえば、どのオジさんも酔っ払いすぎて、目が開いてなかったような気がしないでもない。

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