つらいからこそ。
記事一覧へ公開日: 2017/11/02
いつだったか糸井重里が釣りの魅力を表現して、「すなわち釣りはおもつらい」と言ったことがあった。おもしろいけれど、その中にはつらさもある。だからこそ惹きつけられる。これはきっと釣りだけに限らず、多くの物事に共通することだと思う。
以前にも書いたと思うが、僕は店の傾向が丸裸になり、高設定をほぼつかめる状況になると、その店で打つのが途端にイヤになる。たとえば15年前にネオプラネットXXを打ちに通っていた江戸川区の6枚交換店は、12台中、最低でも設定4が2台、設定5が1台、設定6が1台、毎日のように入っていた。最初はそのクセがわからず、今日はここかな、明日はあそこかなと予想し、失敗を繰り返しながら精度を高めていったわけで、試行錯誤を繰り返した当時の日々は、つらさこそあったが、張りのある、まさにおもつらい毎日だった。
だけど、データを取り続け、その傾向がはっきりとわかってからは、その店に行くことに魅力を感じなくなった。朝、打ち始める前から、いや、もっと言えば前日の閉店時の段階で、明日はあそこが設定4、あの台が設定5とわかってしまうのだ。これまではドキドキしながら朝、目覚めていたのに、そうなってからは起きるのも作業。並ぶのも作業。打つのも作業。それまでは自分の意志で打ちに行っていたはずなのに、いつしか、店に打たされているような感覚になっていた。
好きなスロを打って、ラクにお金を得られるのだから、おもしろいか、おもしろくないかと問われれば、まあおもしろいのだとは思うけれど、おもしろいだけで続けられる期間というのは限度がある。おもしろいだけのものは、いずれ作業に、義務になるが、そこにつらさが加わることによって、やりがいや達成感が生まれ、より良くしようという向上心が生まれてくるんじゃないかと思う。
思えばゴルフだって、NPO活動だって、ライター業だって、うまくいかないなかでもがき苦しみ、その結果として半歩、一歩の前進があったときの嬉しさがあるからこそ続けられているわけで、まあ、それは単純に僕がM気質だからということもあるのだろうが、やはりつらさというのは最高のスパイス。今日も負けてやるせない気持ちの人もいるだろうけれど、その負けは、よりスロを好きになれる、次の勝利をより喜べる最高のスパイス。そう考えれば、たいていのことは受け入れられるはずだが、ひとつだけ、どうしても受け入れられないものがある。
ハロウィンのイベントということで本場フィリピンのフィリピンパブでしこたま飲んだ昨晩はたしかに盛り上がったが、この尋常じゃない二日酔いは本当に必要なつらさなのだろうか。おもつらいを通り越してつらつらいこの状況にぴったりなキャッチコピーはないものか、ぜひ糸井重里氏に聞いてみたいものである。
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