人生これ修行

マッコリのボトルを(ほぼ)4人で48本空けたり、スロの激アツイベントにひとりで並びながら飲んで朝方に気を失い、そのまま昼過ぎまでパチ屋の駐車場で寝たり(17年前の話です)、そんな話をしていると、こいつはどれだけ酒に飲まれるんだ、だとか、酒豪のようなイメージを持たれることもあり、実際、昔は知らないパチンコ屋のオーナーから編集部に「田中と飲みたい」と、「田中と飲ませるなら今後、仕事をふってやる」というような電話がかかってきたりもしたわけで、まあ、多少は田中=酒のイメージがあったのだとは思うが、実際のところ、僕は酒が嫌いだ。

この世で一番うまい飲み物は断トツでカルピス。なれるものならお中元に送られてくるみかん味やぶどう味のカルピス、その原液をぺろぺろ舐めるだけですべての栄養素を摂取できるパーフェクト超人になりたいし、温泉を掘り当てたら打たせ湯からはホットカルピスが出てくるようにしたい。カルピスソーダは邪道なので認めていないが、あの優しく包み込むような甘味には核を放棄させる力があると、日本政府は北への制裁を強めるのではなく、コンテナいっぱいのカルピスを送って世界平和をはかればいいと思っているが、カルピスサワーとなるとその魅力は半減。僕にとってアルコールは正義ではなく、カルピスのうま味をそぐ悪魔超人でしかない。

ちょっと自分でもなにを言っているのかわからなくなってきたが、要するに僕は酒が好きではない。そう言うと、ああ、わかります。酒ではなく飲みの場が好きなんですよね。僕も同じです。そんなことを言う人もいるが、僕は飲みの場も別に好きではない。なのに、どうして飲んでしまうのだろう。

昨日は焼肉屋でレモンサワーを飲み、その後に行った新規のフィリピンパブでチャミスルをストレートで煽って酔っ払い、隣にいたフィリピーナをグッと抱き寄せた。まあ、これは誘ってくれた方の会社が支払いをしてくれる場だったのでまあいいのだけど、明日は明日で海辺で出会った女子を飲みに誘っている。そういえば、僕が歴代で一番好きかもしれないデルソルという台の3枚役もテキーラのボトルだったし、好きな漫画は夏子の酒だ。嫌いなはずの酒が、いつも手の届くところにある。

好きなことだけをして生きていく。近頃はそんなライフスタイルを提唱する風潮があるけれど、まだまだそれは強者の理論。僕にとって人生は修行であり、酒を飲むこともまた修行。パチスロでの理不尽なハマリも修行だと思うからこそ耐えうるわけで、そうだとするとここに集うみんなは困難に立ち向かわんとする同士。いまもどこかのホールで理不尽なハマリに立ち向かって己を高めている同士がいると思うと、僕も勇気が湧いてくる。同士よ、あなたはけしてひとりではない。日が暮れたので、僕もいまから修行に行ってきます。大丈夫。ハマリも酒も、いつかはきっと抜ける。