遊びと仕事と自由と覚悟と
記事一覧へ公開日: 2018/06/29
田中さんの主なお仕事ってなんですかと、そう聞かれてすぐに答えが出てこなかった。若いころはアルバイトもした。掃除屋に魚屋、鳶に引っ越し、焼き鳥屋にコンビニ、高級ラウンジのボーイにハムの配達と、お金を得るためだけに働いていたこういったものは、バイトではあるけれど僕にとっては「仕事」という感覚がたしかにあった。消費者金融から金を借りるアリバイをつくるためだけに登録した派遣のバイトは仕事でもなんでもなかったが、その後にパチスロ必勝ガイドにフリーのライターとして潜り込んでから、もうすぐ17年。この17年間、僕は仕事というものをまったくしていないんじゃないかと、自分の半生を振り返ってみて、そう思った。
僕は、できる限り、あらゆる責任を負いたくない。あらためて言葉にすると我ながらクズだなと心から思うが、責任を負いたくないから結婚もしないし、彼女という存在も、もう10年いない。こうやって文章を書いてはいるが責任を持たなければならないような話題には一切、触れないし、Twitterなんかは誰も見ていないものと決めつけて、ストレス発散のために書いている。もちろん、いくつかのことに関しては最終的にケツを持たなければいけないという気持ちはあるが、それは覚悟の話であって責任とは少し違う。こうやって考えると、僕にとって仕事とは、イコール責任を負うものなのだろうと思う。
そういう意味で言うと、21歳でガイドにかかわるようになってからの17年間、僕はただ、ずっと遊んでいる。パチスロを打ってお金をもらえるのなんて僕にとって遊びの延長であって仕事ではないわけで(そういうプロ意識のなさが、一部の偉い人に期待されながらも僕が頭ひとつ抜けなかった理由ではあると思うのだけど)、一生懸命に仕事をして月に100万円稼ぐよりも、遊んでいて15万円もらったほうがずっといいに決まっている。「だって、遊ぶの仕事だもん」。そのむかし、どこかのぱちんこメーカーがそんなキャッチコピーのテレビコマーシャルを流していたが、自分の感覚では遊んでいるだけなのに、周りはそれを仕事として見てくれる。これが、僕の理想だ。
※人生を自由に遊んでいる人たちがつくったパチスロ必勝ガイド8月号、本日発売のようです。
そんなことを思いながら、冒頭の問いに対して僕、仕事なんてしてないですよと、子どもと一緒にわーわー遊んでいるだけですよと、そう答えたわけだけど、いまはよほど良い時代なんだろうな。そう伝えた相手の多くは、とても好意的な反応をみせてくれる。
この、ほかのNPOの代表にはない柔らかさが田中さんの魅力ですよね。包み隠さずに自然体で書いている文章が好きなんです。女性、特に知性があって仕事を頑張る女性ほど(ダメな男に母性がくすぐられるのか)そう言ってくれるのだけど、NPOの代表っぽくないのが魅力と言ってくれる人と同じ数だけ、きっと、NPOの代表っぽくないからイヤだと思っている人もいることだろう。
以前は、全員に好かれたかった。ひとりたりとも、僕のことをキライになってほしくないと思って生きていたが、そこに無理やりアプローチをすると、もはやそれは仕事になってしまう。さて、仕事をせずにどこまで生きていけるだろう。この先、時間が経ち、遊んできたツケがたまって人生が破たんすることがあるかもわからない。そんな自分の人生の責任は持てないが、破たんしても受け入れる覚悟だけはある。
自由には責任が伴うと誰かが言っていたが、責任なんて持たなくていい。覚悟だけもって、自由に生き、自由に死んでいきたい。そんなことを考えながら昨晩、覚悟を持ってテキーラをあおったら、ものの見事に二日酔で死にそうになって、いま、猛烈に後悔している。
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