技術介入時代に向けて
記事一覧へ公開日: 2018/07/20
ディスクアップをはじめビタ押ししてナンボの機種が増えてきているが、ビタ押しができないと話にならなかった4号機・技術介入全盛期は、僕もそれなりにビタ押しはできた。
大花火のハズシ程度のビタなら100回やって1回ミスるかどうか、くらいのレベルではあったのだけど、当時はそんな人がゴロゴロいたわけで、それについてどうこう言いたいわけではない。あれだけできた目押しが、いまやほとんどできなくなってしまったことに、衰えを感じるのだ。
できなくなった理由のひとつは、スロから離れている時間が長くなったことにある。普段はフィリピンにいるので物理的にスロに触れる機会がなく、たまに日本に戻って打ったりすると、ビタ押しどころか、まずスイカが見えない。スイカナビが出て、頭を上下にカクカクさせながらリールを凝視し、それでも見つけられないから慌てて冊子で配列表を確認する姿はスロライターのそれではないし、ビタ押しの成功率も半分以下になっているんじゃないかと思う。
目押しができなくなったもうひとつの理由は、精神的なものだ。高校生くらいのころから寝る前、自宅の戸締りを執拗に何度も何度も指さし確認しないと不安で寝られなくなったり、郵便ポストに手紙を投函した際、途中で手紙が引っかかっているんじゃないかと心配で、配達員が回収にくるまでポストの前で待ったりするようになった。
病名に当てはめるなら強迫性障害とか不安障害などというのだと思うけれど、あるとき、いや、厳密に言うと91時間バトルに出場して4号機のパチスロ戦国無双を打っていた際に、パチスロに対しても似たような症状が出始めた。
いま出ている赤色のナビは、本当に赤なんだろうか。僕がそう見えているだけで実際は違って、ARTをパンクさせてしまうのではないか。本当にナビが赤だったとして、じゃあ、僕がリール上で赤7だと思っているのは、本当に赤7なんだろうか。このまま赤7だと思ってリールを停止させたら、ARTがパンクするんじゃないか。
そんなことを考え始めたら、失敗をしたら損をするかもしれない場面で目押しをするのが、たとえ10コマの余裕があったとしても怖くなった。実際、リールの特定箇所を押し分けないとパンクやペナルティが発生するようなタイプの機種は、どうしても避けられない仕事以外では打たなくなったし、プライベートでも必然的にぱちんこを打つ機会が多くなった。
つまり僕は目押しにかかわる強迫観念や不安感から逃げたわけだけど、この手のものの効果的な治療法というのは、不安の対象にあえて立ち向かい、強迫行為をしないよう、または不安感に打ち克つよう、自らをそういった環境におくべきなのだとか。
適当に生きているようでいて、僕は成長期の乳首のように敏感で繊細な弱い心を持った人間だ。ゆえに自分の中で無理だと思ったことに対しては第一に逃げるという選択肢を選んできたが、技術介入の重要性が再び高まってきたいま、もう一度、目押しの恐怖に立ち向かわなければいけないと、そう考えている。
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