バブルとブームと
記事一覧へ公開日: 2018/07/28
僕がパチスロ必勝ガイドに出入りするようになったのが21歳の頃だったから、もう17年近く前の話になる。まともに文章を書かせてもらうようになるのはそれからずっと後の話だけど、それでも当時の白夜書房とフリーランスの作家契約みたいなものを交わした記憶があるから、そこを始まりにライター歴17年と言って差し支えないだろう。
ネット情報によるとパチスロ必勝ガイドの創刊が1990年とのことだから、ベテラン組となるとライター歴は25年を超える計算になるが、25年に対して17年を相対的にみれば、僕もすでにベテランの域。そりゃ頭に白いのが目立つようにもなるってもんだ。
セブに移り住んだのは2011年のことだったから、セブ歴は7年半になる。20年選手もいるなかで7年半はまだまだ若手だと思っているが、近年、若い世代が急激にセブで働くようになったことで平均年齢がグッと下がり、そろそろ中堅と呼ばれるようになって振り返ってみると、この7年半でセブも大きく変わった。
僕が住み始めた当時はまだいわゆる英語の語学学校というのは韓国資本しかなく、日本人の学生も年間で2000人程度しかいなかったが、その当時に留学していた日本人たちが2013年ごろから日系の語学学校をポコポコ立ち上げはじめ、いまでは嘘か本当か年間3万人ちかい留学生がいるとのこと。
また、2016年末に就航したLCC、バニラエアの成田⇔セブ便によって観光業は一気に変わった。それまでセブ現地の観光業、特に海のアクティビティを扱う会社は一部の大手と、そこからこぼれてくる仕事をなんとか拾う小さな会社にわかれていたが、全体的なパイが増えたことによって大手だけではとても受けきれない数の観光客がくるようになり、全体が一気に潤った。これまで給料日前になると社員の給料が払えないと嘆きながら路上で一緒にビールを飲んでいた年下の友人も、いまや年商は億を超える小金持ちだ。
僕がセブに住むようになった2011年ころからいわゆる来店系のライターバブルがやってきて、セブでは語学学校ブーム、そして観光業バブルが巻き起こってきたなかで、僕自身、近い場所に身を置いてはいるものの、直接的にはなんの恩恵も受けていない。ライターバブルにうまく乗っていればいまごろ数千万円程度の貯金はあったと思うし、いち早く語学留学に飛びついていれば、良いタイミングで売却して富豪になっていたかもしれない。いまにも潰れそうなマリンスポーツ屋さんをとりあえず買っていればブームに乗って稼げたとも思うが、幸か不幸か僕は嫉妬心というものが人と比べて欠落しているようで、周りが順調にお金持ちになっていく姿を見て、ただただ、心から嬉しく思う。
みんなが働いて働いて、お金持ちになればきっと僕の酒くらいは奢ってくれるだろうし、セブンスピリットにも支援をしてくれるかもしれない。僕は自分のやりたいことをやらせてもらって、あとは周りの方に助けてもらう。五島のおじさんが朝の早くから家を出て、西へ東へ日本を駆け回る姿を見て、ありがとうございますと、僕のためにありがとうございますと、そう思うわけだ。木村さんのスケジュールがびっちり埋まっているのを確認して、なにかあっても寝床と食事はまだまだ大丈夫だと安堵するわけだ。
なんだよあいつ、オレより稼ぎやがって。そんなことを考えたところで自分の財布が膨れるわけでなし。周りが潤えば、巡り巡って僕にも間接的な恩恵があるというわけで、先輩方。日本はセブよりも暑いと聞きますが、どうぞお体だけには十分に気をつけて、できるだけ長く稼いでくださいませ。とりあえず僕は、小金持ちの友人が新しいレストランをオープンするというので、タダ酒を頂いてきます。
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