数字至上主義
記事一覧へ公開日: 2018/09/28
いくら人生はお金じゃないと聖人ぶってみたってメシが食えなきゃ生きてはいけないわけで、僕もNPOの活動をするかたわら、セブの地で文章を書き、ここで暮らせるぎりぎりの生活費を稼ぎながら日々を過ごしている。
そういうわけで、いま仕事をしているパチスロ必勝ガイドと、ここ、DMMには頭が上がらないというか、お前イラネと言われたらその時点でセブの生活が破綻し、セブの生活が破綻するということはNPOの活動も立ちいかなくなり、愛媛に戻ってハローワークに通うしかなくなるというわけで、この2つの仕事は僕にとっての生命線といえるものだと思う。
なにかとんでもない差別的なことを書いて炎上したり、僕が警察につかまるようなことをしでかしたのであれば、クビを切られるのは仕方がない。だけど、そうでないのならできる限り細く長く、未来永劫、駄文を書きながら原稿料をもらい続けたいと願うのがフリーライターという生き物だ。このコラムの担当者にも定期的にご機嫌をうかがうメールを送ってみたり、帰国する際にはご挨拶に行きたいとお願いをしてみたり、オールウェイズ・ランキング圏外のこの文章を存続させるために動いてきたわけだが、今回の帰国に際して、ちょっとお話をしませんかと、そんな連絡を担当の方からいただいたので、オフィスへ伺うことにした。
約束当日。24階へ行くと、タブレット端末を手に持った受付の女性が7~8名、待機しており、そのうちのひとりがすぐさま近づいてくる。
※おしゃれにもほどがあるオフィス
あ、あ、あの、た、た、たなかと申しますが、、、
フィリピンの生活がもう7年を超え、ビーサンと短パンでのミーティングが当り前の生活に慣れきってしまった僕は、この雰囲気に完全に飲まれた。堅苦しい会社ではないのでほかの来客者もラフな格好をしているが、それにしてもなんでこんな、タガログ語で胸にフィリピンと書かれたTシャツで来ちゃったんだろう……。
※失礼というよりも、まずなぜこんなTシャツを買ったのかが、そもそもの問題
その後、別室で担当の方とお話をする。
担『田中さんの投稿はランキングこそ伸びませんが、うちとしては数字関係なく、できる限り続けてほしいと思っています』
この世界、数字がすべてだ。読まれない文章は、ただのゴミ。読んでもらってはじめてライターはライターになるわけで、数字関係なく続けてほしいと言ってくださるのは嬉しいが、数字はもちろん、重要なものだ。というか、オレだって1回くらいランキングに名を連ねたいんだってば‼
そんな言葉を聞いて担当さんが待ってましたとばかり話を切り出す。
担『いや、実はですね。読者さんからのアンケートを会社の人間は見られるんですが、そのなかで、田中さんの過去とか、周りの人とのエピソードなんかを書いてほしいという要望がちらほらありましてね。田中さんって、他のライターさんもけっこう、お知り合いがいますよね?』
たしかに飲みの場でいろんなライターさんと顔を合わせて知り合った過去はあるし、深い話や思い出に残っている会話なんかは頭の中に残っている。あと、僕には害がなくて話しやすいと思うのか、なぜか業界のゴシップみたいな話がけっこう耳に入ったりもするんだよなあ。
担『そんな話をですね、毎週じゃなくてもいいので、ちょいちょい放り込んでもらえれば……』
担当の方はけしてそれ以上、どうしろとは言わなかったが、つまり、仲間を売って数字を取りに行けということ……ですか?
バカにするんじゃないよ、仲間を売ってお金なんてもらえるかよ‼ 僕だって業界に生きる者としてそれくらいのプライドはある。
担『タイトルにそのライターさんの名前使って、写真も載せれば数字が上がりますよ』
……しょうがない。のった。
数字が上がらなければいつかはキラれるわけで、背に腹は代えられない。ということでこれからはFridayの記者ばりに業界のゴシップをかぎまわったり、不定期ではあるけれどほかのライターさんとの思い出深いエピソードなんかを書いていきたいと思う。数字を上げてギャラ交渉して、特上のうな重とか食ってやろうと思う。
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