クズでもできるエクササイズ
記事一覧へ公開日: 2018/10/11
いまでこそパチスロ業界最後の良心と言われている僕だが、まだガイドに入る前はアイスピックのようにびゅんびゅんに尖っていた。
自分以外の全員が死ねばいいと眉間にしわを寄せ、ぺっぺぺっぺと地面に唾を吐きながら歩いているその様がしゃぼん玉のころの長渕のようだと、大阪はミナミで高級ラウンジを営むパンチパーマのおっさん(カタギ)に気に入られ、『兄ちゃん、これでええ服と靴こうてこんかい』と万札をわしゃっと握らされたものの、安い靴と服を数千円で買い、残ったお金をキングガルフに全力投球していたあの頃は、たしかに尖っていた。
※髪型もヒゲも、ちょうどこんな感じだったからナガブチくんと呼ばれていた
パチスロにしたってそうだ。せこせこと小役を積み上げるようなスケールの小さな立ち回りではなく、ないところから強引にフラグを引っ張ってくるような(ゴトじゃないよ)、まさにストロングスタイルなスロ打ちだったのだけど、いまはどうだ。羽・羽・鳥の3枚役を取りこぼさないことを唯一の誇りとし、3枚役の積み重ねによって小銭を拾うスタイルに、以前の面影はない。
人間としてではなく、スロッターとしてでもなく、オスとしての大切なものが欠落していく自分に落胆しているわけだが、知り合いがセブに連れてきた20代前半の女の子に誰がタイプか聞くゲームをしていた際(いい歳してなにやってんだよ)、オジさんはなんかわからないけどタイプじゃないと言われ、僕のなかでなにかがはじけた。
見た目がキモいとか、服装がダサいとか、血液型が合わないとか、嘘でもいいからなにか理由があれば、僕だって納得する。だけど、なんかわからないままタイプではないというのは納得できない。この「なんか」は、いったいなんなのか。これはもう、理屈では語ることのできない、オスとしてのフェロモンのような。湧き出るオーラのような。そんなものなのではないかと考え、僕が出した結論は筋トレだった。
根拠のない自信に満ち満ちていた、あの頃の自分を取り戻そう。刺したことすら気づかれないような、びゅんびゅんのアイスピックになろう。エノカナの大航海モードを、ダブルチャレンジの30倍を、キングガルフの状態を剛腕で持ってくる、そんな男になるためには、筋トレしかない。
※大航海モードの突入率はおおよそ16万分の1。昔はこれくらいなら普通に引けたもんだ
ぱんぱんに張った上腕三頭筋。そこから生まれる爆発的なパワーでレバーを叩きたい。広背筋を最大限に駆使して女の子の肩をグッと抱き寄せたい。そんな思いからクズでもできるエクササイズ、略してクズササイズをはじめて二日目。体はばっきばきの筋肉痛だが、まずは身長177cmの体重67.95kg、体脂肪16.8%、おなかぽっこりボディからのスタートである。
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