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元クズ田中

おじさんセブへ

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公開日: 2018/10/26

イクよイクよと言いながらまったくイキやしない、遅〇を絵にかいたような男にうんざりする風俗嬢は全体の9割を占めるというが(田中調べ)、僕もこれまで『セブに行きますね』と言いながらちっともこない人に何人も会い、そのたびに少しだけ寂しい気持ちになってきた。

 

だけどもイクイクと言いながら一生、一歩を踏み出さない人間がいる反面、くる人というのは本前兆の気配すら見せずに、唐突にやってくる。

 

10月16日の火曜日、日本時間、朝の9時44分に「今週末に行くかも」という連絡があり、同日の13時40分にはフライトとホテルを予約。連絡からたった4日後の10月20日にセブまでやってきたのは、次の2月で50歳になる、塾長おじさんだ。

 

数年前の来店取材全盛期は急な旅行など組めないほどおじさんも忙しそうだったが、来店そのものの絶対数が減ったのか、はたまたメニエール病の発作を考えて仕事をセーブしているのか、そのあたりはよくわからないけれど、とにかく五泊六日のスケジュールでセブにやってきた。

 

※おじさんのTwitterより。昼間は基本、日焼けか寝るか。ちょっと昼寝すると言って16時から22時まで寝てました 

 

田中、金出すからセブでなにか商売やってくれよ。そしたらオレも、いまの仕事ヤメてセブに住むから。オレ、もう疲れたよ。

 

半分本気、半分冗談っぽくそんなことを言う姿に、哀愁を感じる。

 

メディアに露出し、まばゆいスポットライトを浴びれば浴びるほど、その裏の影も色濃くなるわけで、いっそ、1年くらい仕事休んじゃえばいいのにと、大橋巨泉みたいにセミリタイア宣言して、自分の好きな場所で好きなことをして暮らし、たまにやりたい仕事だけやればいいのにと思うわけだが、まあ、僕のようになんの人生設計もなく生きている人間じゃないし、そういうワケにもいかないのだろう。

 

出会った頃は32歳だったが、おじさんも、もう50歳だ。とりあえずセブにいる間だけでもリラックスしてくださいよと、日ごろの疲れを癒してもらうべくマッサージ屋へ行き、薄いカーテン1枚へだててマッサージを受けながらウトウトしていたら、おじさんの席から声が聞こえてきた。

 

うひゃひゃひゃ、うひゃ、くすぐったい! くすぐったいってば‼ うひゃひゃひゃ、タオルで足ふくと、うひゃひゃひゃ、あ、足がくすぐったいってば‼

 

マッサージでくすぐったいなと思うことはたしかにあるが、それにしても、そんな大声でいつまでも笑うものだろうか。

 

うひゃひゃ、うひゃひゃひゃひゃ。あーダメだ‼

 

急にセブにくるというからなにか落ち込んでいるんじゃないか。思い詰めていることでもあるんじゃないかと心配していたが、良かった。いつものデリカシーのないおじさんのままで良かった。薄暗い部屋にただ響き渡る、おじさんの笑い声を聞きながら、眠りについた。

 

※笑いすぎた影響か、超高いクロムハーツのネックレスをマッサージ屋に忘れて日本に帰りました

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