売れかけの男

先日のM－1で、結成5年目の霜降り明星が先輩芸人を負かして見事に優勝した。腕さえあればのし上がれる、完全なる実力社会。これは、順番待ちの行列になんか並んじゃいられない、野心あふれる若い世代にとって大変に魅力的なことだ。

※日本語がわからないのにジャルジャルの1本目で腹を抱えて笑っていたので、カメラを向けたら見事にポーズをとられました

年功序列なんてクソ喰らえ。たしかに、能力ある者に需要が、仕事が集まるというのは、いたって健全なことだと思うけれど、諸ゲンのように、よーいドンからロケットスタート。あっという間に視界からその背中が消えるようなケースは稀。だいたいの場合は下積み期間を経て、そのチャンスを、きっかけを待つこととなる。

スター選手がひしめく華やかなガイドに入れば自分まで輝けるという錯覚に陥りがちだが、スター選手が数多くいるということは、それだけ上が詰まっているということ。当然、誌面だろうが映像だろうが出られるスペースは限られてくるので、そのなかでなんとか結果を出さなければ、スターどころか生活することすらままならない。

入ってくるお金が少ない。だけど不定期にぽつぽつと実戦の仕事が入るものだから、プライベートでつながりのある立ち回りができない。結果、実戦仕事で月7万円を得るために生命線だったプライベート収支を犠牲にし、信用も担保も、返すアテすらもないのに50万円でも100万円でも貸してくれる、魔法のカードに手を出すことになる。

このまま借金の利息だけを返済してジャンプしながら、細々とデータ取りだけで生きるのか、それとも……。

いまのご時世、打つ、書くだけでなく、それ以外にも売れるきっかけ、チャンスというのは数多く転がっている。僕はあまり嫉妬心というものがないので、周りで売れていく人を見るというのは嬉しいことでもある。

では、いままさに、売れかけているのは誰か。そう問われれば、ぱち＆スロに限らず、ボートにカジノに麻雀に。アダルトな嗜みを幅広く押さえ、ときに難解なルールや仕組みを視聴者にかみ砕いて伝えられる、マリブ鈴木ではなかろうか。

そんな彼が先日、弾丸日程でセブにきたのだが、8年住んでいる僕が聞いたこともないタイプのひどいぼったくりにあったり、よくある手口の初歩的なぼったくりにあったり、カジノでありったけのペソをすったりと、その勢いは本物。

完全に売れかけている男の様をセブで見せてくれた彼が、本当に売れる日は果たしていつなのか。いままで売れてきた人は、みんな少なからず強引さがあった。再びセブに来る次こそは、フィリピン女性の肩をもっと、強引にグッと抱き寄せてほしい。

※フィリピンの健全なカラオケ屋さんです