理性と誘惑との狭間で
記事一覧へ公開日: 2019/04/19
ここ最近、Twitterのタイムラインなどで、ぱち&スロライターの引退宣言を見かけることがある。僕は実際にお会いしたことがなかったり、誰かのリツイートによって流れてきた投稿も多いので、なぜ辞めるのかなど個々の詳細はまったくわからないのだけど、つい先日もガイドにいた2番セカンド近田がブログで引退宣言をしていた。
僕も、2011年にフィリピンへ移り住むにあたって、一度は引退を決意した身だ。まあ、僕の場合はここDMMやガイドでいまだ文章を書かせてもらっているし、年に数回、パチスロの番組に呼んでいただくこともあるので、完全引退とは言えない非常に中途半端な立ち位置ではあるのだけど、こんな、続けようが辞めようがさして社会に影響を与えないフリーのライターがあえて引退宣言をするということは、それなりの覚悟というか、考えがあってのことだと思う。
トップクラスとなると、今季の松坂の推定年俸くらいは稼げる夢のある世界ではあるが、需要がなければ毎月のようにゴールデンウィークがやってくる、シビアな世界でもある。今日データ取りをやったら10連休。一本動画の収録をやったら再び8連休。月の稼ぎは6万円しかないけれど、オレだっていつかは松坂に……と、なかなか踏ん切りがつかない、やくざな商売なのである。
M-1をつくった理由のひとつを、島田紳助は「芸人を辞めるきっかけを与えるため」と言っていた。才能ないのに10年もこんな仕事したらあかん、と。ダメならダメで、また新しいことを頑張ればいい、と。
僕は9年前、業界はこれからは動画全盛になるだろうと先をみて、そこで戦う力は僕にはないと冷静に判断して違う道を模索するようになった(そのほかにも理由はいくつかあるけれど)。僕個人としてはその判断は正解だったと思うけれど、なにがきっかけで売れるかわからない商売だからこそ、なにをさておき続けることが重要という考えもある。
文章はからっきしだったのに、動画の時代になって輝いた人だっているだろう。スロでは埋もれていたけど、仕事の幅が麻雀やボートにまで広がって、光が当りはじめた人だっているだろう。
なにが正しくて、なにが間違っているのかなんてわからないのだとしたら、判断の基準は自分が納得して選んだ道かどうか。続けるにせよ、辞めるにせよ、後ろを振り返りながら、後悔しながら進むよりも、前向きに歩いたほうがいいに決まっている。
決断をして、一歩を踏み出す人を僕は尊敬するし、応援したいとも思う。今日も、そうやって他でもない、自分自身にそう言い聞かせているわけだ。
よし、食おうかどうかずっと迷っていたけど、チョコレートが入ったクロワッサン、頼んじゃおう。僕は今日も理性と誘惑の狭間で悩み、もがき、そして、クロワッサンに向けて、大きな一歩を踏み出します。人生は、決断の連続です。
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