クズがゆえに
記事一覧へ公開日: 2019/06/07
僕は人の前で話をするのが得意ではない。それはテレビに出てカメラに向かって話すということだけではなく、たとえば雑誌の企画での討論会だったり、会議やミーティングの類であったり。1対1のサシならまだしも、多くの人間がいる前で話をするのが苦手だ。
だからこそ、家にこもってひとりで文章を書くことが仕事になるライター業は性に合っていたし、映像にシフトしていく業界の流れを見て次の道を探したわけだけど、人生とは面白いもんで、意識的に遠ざかっていても、ご縁のように吸い寄せられることもある。
今年の2月にNHKのBS1スペシャルにて、「スラム街 希望のオーケストラ」と題した約40分の、セブンスピリットのドキュメンタリー番組が放送された。これに関してはうちのスタッフと子どもにスポットをあてた番組であり、40分のうち僕が画面に映ったのは5秒程度しかなかったのだけど、来週の6月12日に、今度は僕のインタビューもがっつりと収録された番組が放送されることになった。
NHKワールドという、海外に住む外国人向けのチャンネルがあるのだが、そのチャンネル内の「Side by Side」 という番組で、セブンスピリットの活動にスポットをあてた30分の番組が流れることになった。その番組のタイトルは「A New Future Through Music」。グーグル翻訳に放り込んだところ、「音楽による新しい未来」だそうだ。
※カメラ向けられて取材を受けるなんて経験は、子どもたちにとっても貴重な経験じゃないかと思うが、オレより堂々と受け答えするんじゃないよ!
およそ10日間もセブでの密着があり、僕へのインタビューもたくさんあったのだけど、取材をしようと思ったきっかけは、僕がクズだったからとのこと。事前に日本で制作会社との顔合わせがあったとき、そこにいた責任者のおじさんは、昼めしを食いながらしきりに僕に聞いてきた。
ねえ、田中さんはクズなんでしょ? コラムも全部読みました。うん、クズだよねえ。あのね、ただ外国で音楽教育をしてるってだけじゃ、別に珍しくないし面白くもないの。クズというストーリーがあるからこそいいの。今日お会いして田中さんがクズだということがよくわかりました。これで僕も企画をNHKに通せるよう、頑張れます。
今日会ってクズとわかったって、その日は一緒に昼めし食ってお話ししただけで、別にクズの要素なんてひとつも出してないんですけど……。
※渋谷にあるライオン。ランチタイムの混雑した店内で、大きな声で「あなたはクズだと」連呼されるもんで、ちょっとだけ恥ずかしかった
ガイドのライター時代の写真も求められたし、僕のクズ具合がどういった感じで使われているかはわからないけれど、長いことクズをやっていると、それはそれで注目してくれる人も出てくるんだなあ。
放送日時は、NHKワールドが視聴可能な方は6月12日の10:30~10:58、16:30~16:58、19:30~19:58、13日の4:30~4:58の4回。
NHKのBS1では6月17日の4:30~4:58。あと、放送終了後から1年間は番組ホームページから無料視聴できるそうです。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/sidebyside/
人前で話すのは苦手なもんで、気の利いたことは話せていないと思うけど、僕が日ごろ感じていることはそのままお話ししましたので、お時間ある方はぜひ、ご覧ください。ちなみに、字幕もナレーションもすべて英語の放送ですが、僕の言葉はそのまま日本語だと思います。
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