幸せ記念日
記事一覧へ公開日: 2019/09/13
田中さんって喜怒哀楽の感情がオモテに出ませんよねと言われて、ハッとした。本来の僕は、たしかに学級会の司会進行がうまくできずクラスメイトの前でシクシクと泣いてしまうような内気な部分を多分に秘めた、なにかに触れるたびにビクビクする、成長期の乳首のように繊細な子どもだった。
だけど誰もが通るような思春期を経て、自我も芽生え、10代から20代中盤にかけてはむしろ、喜怒哀楽のはっきりした性格だったと思う。
設定6が確定すればたとえホールのなかであっても強めのガッツポーズくらいはしたし、吉宗のストックが飛ばされていたときには、店長に激しく詰め寄った。先輩と飲んでマジメな話をしている最中に思わず涙をながしたことだってあるし、上半身裸になってフィリピンパブを走り回ったりもした。
※このころは自分以外の全員が負けてしまえばいいとさえ思っていた
とにかく自分の利益や幸福を第一に考え、自分というものを最優先にしていたわけだが、20代中盤から30代にかけて、その気持ちに変化が生まれた。
一歩間違えれば人様に迷惑ばかりをかけ、ごく潰しを絵にかいたような人生を送っていたかもしれない、いや、実際にそんな道を歩み始めていた僕が仕事仲間に頼られ、読者の方々から頑張れ、頑張れと応援してもらえるなど、まさに奇跡。これは早いところ僕にできる恩返しを始めないと間に合わないぞと、そんなことを思い始めた。
自分の利益や幸福など後回し。誰かが幸せになるのであれば、僕の顔だってどうぞ食べてもらおうじゃないかと、アンパンマンの精神でここまでやってきたわけだが、ふと我に返って思った。オレ、もっと幸せになってもいいんじゃないだろうか……。
いまが不幸せなわけではない。むしろ十分に幸せだと思ってはいるが、顔が半分になったアンパンマンと一緒にいて、誰が心の底から楽しめるのだろうか。みんながいいぞ、いいぞと応援してくれていたのは、楽しいときに満面の笑みを浮かべ、悔しいときにはボロボロと涙を流す、そんな僕だったんじゃないだろうか。
自分の幸せだけを考えた20代前半を経て、周りの幸せを優先した30代を経て、自分の幸せで包み込んで周りまで幸せにするような、そんな次のステップに進もうじゃないかというわけで、ひそかに今日という日を幸せ記念日に設定。自分へのご褒美として今晩はココイチで最も高価なハンバーグとチーズをトッピングしよう。そう心に決めていたのだけど、今日は僕の奢りでインターン生をメシに連れていく日だと告げられました。
※インターンの、から揚げ食わせろというコールが事務所で巻き起こっています
幸せとはいったい、なんなのだろうか。そんなことを考えながら、から揚げを食ってきます……。
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