
公開日: 2019/11/23
いまでこそ一部の信頼できる人以外はまったく信用しない、心にベルリンの壁を築く僕だが、昔は言われたことすべてを真に受けるまっすぐな青年だった。
信じるがゆえに裏切られることも多々あった。CRモンスターハウスでミドマが出たことを頼りに借金してまで打ち続けたこともあったし(もちろん当らず)、アズテッカー内山くんがずっと実在すると信じていたりもした。
信じるからこそ裏切られたときのショックも大きいわけで、あるときを境に、何事もまず疑ってかかるようになってからは心の痛みは減ったように思うが、その代償に、なにげない幸せだったり、ふとした瞬間に感じる喜びのようなものは少なくなってしまったように思う。
初代ニューパルの小役を、ベルではなくすべてオレンジで揃えることでカエルにビタミンを与えボーナス確率を引き上げる、通称『ビタミン打法』を実践していたときは確かに楽しかったし、ダイヤルQ2でビーマックスの攻略法を購入し、ホールで実践したときは心が躍った。
※コンビニに売っている雑誌に堂々とガセのビタミン打法が載っていた時代。僕は案外、キライではありません
もちろんどちらもガセだったが、騙されることを恐れず、裏切られることに立ち向かうことで得られる喜びが、そこにはたしかにあったわけだ。
フィリピンの田舎の山奥に黒魔術をあやつるジイさんがいる。ボロボロという、コップに入れた水をストローで吹きながら患部にあてるだけで病気を治してしまう魔術を体験したいと、そう言った女の目は疑うことを知らない赤子のようだった。
そこまで言うなら信じてみようじゃないか、行ってみようじゃないかと船に4時間も揺られ、バイクで山奥まで進み、やっと見つけた黒魔術師、ROGELIO。彼の不健康そうな太鼓腹を見たときは自己管理もできない奴に人の病気が治せんのかよと疑ったし、実際に(なぜか)僕も黒魔術、ボロボロを体験させられたのだけど、残念ながら僕には効果を感じることができなかった。
※観光地っぽいキレイな看板。もっと黒魔術っぽい怪しい感じを出してほしいなあ
しかし、10分程度の魔術を受け終わったその女は、息を切らせながら自身のyoutubeチャンネル、そのカメラに向かって、疑いを知らぬ真っすぐな目をして語っていた。
※その女の名前は井上由美子。同級生ですが、キャリア的に僕のほうがずっと先輩です
もうすでに、体が軽くなっているのを感じます‼
こいつ、マジか……。その様子を横で眺めていた僕は、そう思った。
しかし、だ。自分自身がソレを信じ、信じたことによってプラスの作用があるのなら、良いじゃないかとも思うわけだ。どうせウソでしょと最初から決めつけて、一歩も踏み出さずネガティブを振り回すよりも、よっぽど健康的じゃないか。
僕も、ビタミン打法に取り組んでいたあの頃のように、いろんなことをもう少し信じてみようかな。そんなことを思ったわけだが、現地までの船代やホテル代はもちろん、黒魔術を受ける費用すらもなぜか僕の財布から支払われているわけで、信じるのは、立替の精算が終わってからにしようと思います、はい。
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