過剰投資
記事一覧へ公開日: 2020/01/24
誰か、2億貸してもらえないだろうか。
お金というのは持っている人のところに集まる仕組みになっていると言うが、どうやらあれは本当のようで、お金があるから投資話もまわってくるし、そこにお金をつぎ込むこともできる。やることといえば情報の真贋を判断する目利きだけで、それさえ失敗しなければお金がお金を生み続けるわけだ。
もちろん、セブでもうさんくさい話は山ほどある。知人にお願いされて顔を出してみたらネットワークビジネスの説明会だったり、まったく客の入らない潰れかけの日本食屋を無知な日本人に高額で買わせようとする輩がいたり、新規ビジネスの立ち上げをサポートするふりしていざ会社ができたら乗っ取ってみたり、スピンドルという価値が暴落した仮装通貨をガクト自らが売りにきたり。
※セブの知人の数名は付き合いで20万円くらい買ったようだが、ICOした瞬間にゴミみたいな価格になった
日本では僕の親戚が、(当時)攻略誌の広告ページにあった海物語の攻略法販売に手を出して、300万円を騙し取られたこともあった。
見極めのできない人間は、おいしそうに見える話に飛びついて損をするばかりだ。
※身内にスロライターがいながら、詐欺攻略法に300万円も払うなんて……
僕の数少ない友人が、セブの郊外に広大な土地を借りて、とあるスポーツアクティビティ施設をつくろうとしている。それにかかる費用が、2億。お金持ちや投資家のような人を紹介してもらっていろいろ話をしにいってはいるが、2億をポンと出す人はやっぱりなかなかいなくて、なかには詐欺師扱いしてくる人もいるという。
細かな数字は忘れてしまったが、2億を投資すれば10年で3億3000万円だかにして返済すると。約3億3000万円を120ヶ月で割ったお金を毎月返済するとのことなので、返済の元金に加えて、月に約100万円は黙っていてもプラスで入ってくる。さらに施設が存在する限り、利益の15%を毎月もらえるということなので、大儲けはできないにしても、悪くない話ではあると思う。
もちろんリスクはある。オープンしても思ったように客が入らないかもしれない。広大な土地(9ヘクタール)は観光客誘致の名目で市から無償で借りる話になっているが、もしそこの市長が次の選挙で落選したら、新市長は引き続き契約を守ってくれるのだろうかという心配もある。
まあ、そのあたりも当然ながら想定して動いているとは思うが、1発4円、1枚20円の世界で生きる僕には桁の違う異世界の話。機械割103%で4000円勝った、6000円負けたと一喜一憂するのがちょうどいいのだけど、僕が脳内でそろばんを弾いたかぎり2億を持っている先輩がこの業界には数人いて、そのなかには塾長おじさんも含まれている(田中調べの推定貯蓄額は2億1800万円)。
どうか、その2億をそっくりそのまま貸してはくれないだろうか。
借り手の友人は2億が調達でき、投資したおじさんは2億が10年で3億3000万円になって返ってくるから両者ハッピー。そして、仲介した僕にノーリスクで利益の15%が永久に入ってくれば……。
そうなれば僕はもう一生、働かなくていいはずだが、果たしておじさんは2億を貸してくれるのだろうか。そんな夢物語を想像しながら僕は、今日も1文字数円の原稿を書くのです。
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