行列のその先に

つい先日に発表された情報によると、フィリピン国内の渋滞によって毎日41億ペソ、約90億円の経済的な損失が出ているらしい。なにもしてないのに渋滞だけで毎日90億円の取りこぼしだ。スイカを取りこぼした日は自らを戒めるために電車に乗らずホールから自宅まで歩いて帰るというドラゴンな広石さんが聞いたら｢嗚呼～‼｣と嘆くことだろうが、フィリピン第二の都市といわれるここセブでも、慢性的な渋滞が起こっている。

通常時でさえ渋滞するのに、今日は｢金曜日｣｢給料日｣に加えて｢雨｣という要素まで乗っている。どうやら完全に上乗せ特化ゾーンに突入したようで、バイクで道を走っていてもやれ事故だ、やれ洪水だ、やれ火事だと渋滞を呼ぶ要素が満載。普段の倍近くの時間を要してやっとのこと事務所の前まできてみたら、事務所の前に大行列ができており、僕がバイクを停車させるスペースはもちろん、事務所の中に入ることすらできないような状況になっていた。

※セブンスピリットの事務所は左手にある建物の2階部分です。

何百メートルにもおよぶ行列に、数千人の人がならぶこの光景。これはメガガイアあたりがグランドオープンするに違いないと思って行列に加わってみた。

平常営業はともかく、さすがにグランドオープン初日は設定を入れてくるだろう。いや、しばらくは開店プロ対策で絞っておいて、プロが離れてから地元の客に出し始めるんじゃないか。オープンのハガキが届いた地元客しか整理券をもらえないから、そもそもよその地域の人間は打つことができないはずだ。

現地語なのでなにを言っているのかはわからなかったが、きっと並んでいる人たちはそんなことを言っていたのだろう。どの台を狙うべきか。閉店時間が早まることを考えたらやはり狙うべきはボーナスタイプだろうか。いろんなことを考えながら少しずつ前に進んでいくと、軍服を着て銃を持つニコリともしない人がなんでお前が並んでいるんだと聞いてきた。

え、いや、メガガイアがオープンするって聞いて。そんなことを言おうものなら、この冗談が通じなさそうな軍人は、肩から下げた銃を突きつけかねない。うちの事務所の前に行列ができていたもんで、なんとなく……。なにもわからないフリをしてそう言うと、アゴをクイっと動かし、お前は列からハズれろと合図をして、軍人はこう言った。

この列はこの先にあるクリスチャンスクールが地元の人たちにクリスマスギフトを渡すための列だ。関係ない人間は並ぶんじゃない。

イスラム系の人たちが多いミンダナオ島を除くと、90％以上の人がクリスチャンだと言われるフィリピン。それも、敬虔なクリスチャンが多く、彼らにとってクリスマスは1年でもっとも大きなイベントだといえる。そうか、もうあと10日でクリスマスか……。

サンタさん、僕も37歳ですからプレゼントをくださいとは言いません。そのかわり、事務所の近くにメガガイアをオープンさせてはくれませんでしょうか。