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パチンコ・パチスロ特集

第十六回「みらいの輪」~パチンコ店経営者に突撃インタビュー~株式会新世紀観光

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みらいの輪とは

昔のように勝てない!面白くない!
レジャーの多様化とともにパチンコ・パチスロ離れもめまぐるしい。
とかく、依存問題や子供の放置事件などマイナスのイメージを植え付けられているパチンコ業界。
半世紀以上続き就労人口も20万人超という規模だが、世間の風当たりは強い。
様々な要因で店舗数もどんどん減少しており、逆風の只中にいる。
そんな苦境だらけの時代に突き進むパチンコホール経営者の生きざま、考え方について深堀していく。

更新日: 2024/07/31

 

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 大衆娯楽のパチンコ業界。その文化を未来へ紡ぐため、2020年10月に2つの業界団体が合併し成立したMIRAI(一般社団法人MIRAIパチンコ産業連盟)。

 

 

本企画はそのMIRAIで活躍する各企業のキーマンにフォーカス。パチンコホールの経営者の生い立ちや普段聞けない生の声を独占インタビューする。

  

幸村 圭亮 代表取締役

株式会社 新世紀観光

岡山県総社市生まれ

 

パチンコ業界の経営者に話を聞く「みらいの輪」。
16 回は、岡山県にパチンコ店、不動産事業を展開している新世紀観光の幸村 圭亮社長にお話しを聞いた。
MIRAIには今年令和6年1月に加入。アルバイトからぱちんこ業界で働き、長い修行時代を経て会社を引き継いだという異例の経験についてお話頂いた。
 

孤高の修行時代、帰郷のきっかけは一本の電話

DMM:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、幸村社長のプロフィールをお教えください。

幸村社長:よろしくお願いいたします。元々祖父が飲食店をスタートし、その後パチンコ店の経営をはじめました。私は、高校卒業直後に上京してパチンコ店で働きはじめました。最初は中野の店舗で、都内の店舗を何軒か経験させていただきました。


DMM:元々のお付き合いがあったとかお知り合いのチェーン店ではなくですか?

幸村社長:そうですね、縁故や知り合いではなく、全く関連性のない店舗で色々経験をさせていただきました。東京で7年、青森で2年修行させていただきました。

DMM:特にご縁がなく一般で修行されたのですね。その後、戻られて家業を継がれたのですか? 

幸村社長:それが戻るきっかけと言うのは、高校時代の同級生からの一本の電話だったのです。その内容というのが、会社が大変な事になっていると聞かされたのです。その同級生というのは、私が18歳で上京するときに新世紀観光にアルバイトで働きはじめてそのまま勤めていました。その当時、私は新世紀観光の後継者という立場には無かったのですが、その私に電話をかけてくるなんて只事じゃないと思い帰ってきたのです。 

金融機関の後押しで、経営者へ

DMM:大変というのは経営危機に陥っていたのでしょうか?

幸村社長:経営もうまくいっておらず、さらに離職率も非常に高く、社内のルールや人材不足によるオペレーション力が低下していました。

DMM:同級生の方にとっては幸村社長が最後の頼みの綱だったのですね。後継者ではないというのは、お爺さんからお父さん、そのご子息でも後継者というお立場ではなかったのですか? 

幸村社長:私の父が三男で、私の伯父にあたる父の長兄、次兄がおり、当時は父もその息子の私も後継者という立場ではなかったのです。その後、二人の伯父が後を引き継がないという事になり、父が後継者になることになりました。ただ、私の上に姉もおり、後継者は姉の予定もありました。そして、同級生の電話で帰ってきて、一旦私も新世紀観光で働くことになりました。 


DMM:意外なお話ですね。同級生のお電話で大変だったというのは、会社が傾くくらいに稼働や売り上げが芳しくない状況だったわけですか?

幸村社長:そうです。当時の稼働は4割程度で、店舗を維持することも厳しい状況でした。

DMM:その会社の立て直しで、幸村社長に白羽の矢が立ったのですか?

幸村社長:いえ、直接指名されたわけではなく、きっかけは父が亡くなり、経営に関しては当時役員だった母や伯父が後を継ぐことを検討していた状況です。後継者候補でそれぞれ立候補し、それならと私も立候補したのですが、銀行融資の件などで私が引き継ぐことになりました。何より経営も厳しい状況でしたので、銀行融資が無ければ継続も危ぶまれる状況です。リップサービスかもしれませんが、銀行さんからは私が引き継ぐなら融資をすると太鼓判を押していただいたのが決め手で、私が引き継ぐという事で落ち着きました。

DMM:かなり紆余曲折あったのですね。その時、幸村社長はおいくつですか?

幸村社長:それが37歳の時でした。こちらに戻って新世紀観光でもアルバイトからスタートし、社員になってという経歴になります。 

DMM:下積み時代は相当苦労されてこられたのですね。今まであまり聞いたことが無いご経歴です。

幸村社長:下積でも耐えてこられたのは、ぱちんこが好きだったというのが原動力ですね。

DMM:戻られて、何年くらい現場で働かれていたのですか?

幸村社長:27歳で戻り、35歳くらいまで現場で新台入れ替えやシフト作成などを行っていました。また、自分が得た知識以外の業務も教えてもらいながら過ごしていました。 

DMM:聞けば聞くほど驚きです。そして、37歳で社長に就任されたというのは、周りの方も驚きそうですね。現在社長を就任されて何年目なのですか?

幸村社長:今が5年目で、42歳になります。

MIRAI入会のきっかけ

DMM:まだお若いですが、多くのご経験をされているのですね。ご経験の中で、色々采配を振り決断をされていると思いますが、今年、令和6年からMIRAIにご入会されたきっかけや目的について教えて頂けますか?

幸村社長:きっかけは同郷の方がMIRAIの理事をされていて、その方の影響とご推薦を頂いた事です。入会の目的として、MIRAIの目標に貢献するためと自身のスキルや経験を活かせるのではないか、人の為に目標達成に貢献したいという意図です。その方にお話を伺っていて、色々な方々との連携・協力をして目標の遂行やチームとして成果を出したいという思いがありました。私と弊社役員も入会することで、個々だけではなく、会社としても成長や学びの機会を吸収できますし、私自身の経験や知識で貢献することもできると思います。今回、5月に能登半島ボランティアに 参加もさせて頂いて、社会貢献や特定の目的に向けた 活動にMIRAIのメンバーとして参加できた事をとても 意義のある活動だと感じることができました。これからも有意義な貢献をしていきたいと思います。 

DMM:色々なご経験と苦労をされたからこそ、貢献できる舞台、チームとしての活動は、有意義になりそうですね。過去のご経験の中で、幸村社長がご入社されてから印象に残るエピソードなどがあればその内容も教えいただけますか?

幸村社長:アルバイトから入社して、社内のルールが確立していない時代でしたので、それを1つずつ解決していくことに多くの時間がかかった事です。明確なルールが無いという社内の中で、当時の上司や同僚の意識変化も少しずつ変えていってという気の遠くなるような地道な作業でした。

DMM:既存の店舗メンバーからすれば、社長の身内でも後継者ではないという特異な立場の幸村社長が入社された事は大きな異変ですね。想像するに衝突や確執もあったのですか? 

幸村社長:一時は毎日、喧嘩するような日々でした。喧嘩して当たり前のような時期もありました。それまで弊社が大きくなれなかった理由は、その内輪での事象に無益な時間や労力を費やしたことが原因です(笑)

DMM:企業風土や人の意識を変えるのは難しいですね。お立場的にも大変でしたね。四面楚歌な状況は、想像できないです。現在はアミューズメント事業以外にも他の事業もされていると伺っているのですが、そちらの事業はいかがですか?

幸村社長:現在は岡山県内で土地を24か所、建物で6か所の賃貸運営をしております。こちらは、お陰様で順調です。また、今は準備中なのですが、元々飲食から始まっているので、今後は飲食事業も行いたいと考えています。

DMM:それは楽しみですね。コロナ禍で一時は飲食事業も厳しい状況でしたが、今はインバウンドもありますし、岡山は瀬戸内海もありますからね。事業内容も多様化というのは今の時代普通になりつつありますが、現在の企業理念や社是等についても教えて下さい。 

幸村社長: 企業理念としては、お客様の 安全と快適な遊び空間の提供、社会への貢献、公正な経営を行う 健全な営業を目指しています。お客様の健康を守るための取り組み、ギャンブル依存対策問題が最も重要と考え、問題に取り組むという事を理念にしています。
また、社是としては、顧客満足度向上、従業員のスキルアップとモチベーション向上、地域社会との連携強化し、透明性のある経営や法令厳守をしっかり守り真面目に真摯に取り組もう!という事です。弊社では、企業理念や社是を明確にして、これらを実践することでお客様や地域社会との信頼関係を築き、業界全体の健全な発展に貢献することを岡山から発信していきたいと考えています。 

DMM:ありがとうございます。やはり、目的が無いと組織を強くすることはできないと思いますが、こちらは幸村社長が就任されてから作られたのですか?

幸村社長:そうです。現在は、この考えを社員・スタッフに浸透させています。新世紀観光になる前はこのような目的・目標が無く、新たに作りました。もちろん、トップダウンの一方通行では駄目ですが、まずは目指す灯台のように目標・目的を創ることからだと考えています。

DMM:そうなのですね。0から作られて意識改革をされるのはものすごく大きなエネルギーを使いそうですね。 

幸村社長:おっしゃる通り大変でした。しかし、従業員のスキルアップはとても重要だと考えていまして、今はめちゃくちゃ鍛えています(笑)。

DMM:それは研修を取り入れて鍛えられているのですか?

幸村社長:そうです、研修を取り入れてアルバイトにもホールコンピューターの扱い方を教えますし、役職や立場関係なく他社では教えない事も教えぬきます。TY(大当たりと確変・時短状態の全体の差玉の事。T(特賞)Y(寄り玉)であったり、T1Y(1回の大当たりの出玉の事で特賞(T)1の寄り玉(Y)でT1Y)などの専門用語や損益分岐計算等教えています。

DMM:すごいですね。アルバイト・社員それぞれ「個」の強さを高めて組織の強さをボトムアップしていく考えですね。

驚異の離職率30%を1%に!

幸村社長:そうです。自慢ではないですが私が社長になってから離職率が1%に抑えられるようになりました。それまではめちゃくちゃ高くて、実に30%以上の離職率だったのです。

DMM:離職率30%以上が1%にまで減少したのですか?驚きです! 

幸村社長:1%になった話をすると皆さん「何をしたの⁉」と驚かれるのですが、全体的に給料を上げただけです。

DMM:それ以上に社風や勤怠管理が甘く緩いわけではないですよね?

幸村社長:いえ、従業員の皆さんが相当スキルアップしていますから、むしろ教育自体は甘いどころかシンドイくらいだと思います。今研修しているスタッフは鬼のような人に教えられていると思いますよ。

DMM:ただ、疑問なのですがお金だけで人はついてくるものなのですか?弊社や他の企業さんとのお話でも離職率1%と言うのはかなり低く感じます。特に業界水準と比較しても驚かれると思いますが、お金以外での人が辞めない秘訣というのはありますか?

幸村社長:今のこの会社の風通しが良く、面倒くさい事が無いからですかね。また、労務環境も改善して、昔の組織時代は、早番終わりに遅番やらないといけないくらい人手が不足しており、残業が当たり前でした。当時の時代背景もありますが従業員への待遇が悪く、そのような理不尽さから少しずつ脱却していきました。

DMM:だいぶ労働環境の改善がなされたのですね。今は、幸村社長と社員、アルバイトスタッフとの距離も近くなられたのですか?

幸村社長:近いですね。友達感覚になりつつありますので、そこは少し距離をとりたいですね。(笑)


DMM:近すぎても困りますね。今はスタッフの平均年齢は比較的若い世代が多いのですか?

幸村社長:そうですね。今は平均28歳くらいかと思います。

DMM:若い世代中心なのですね。企業運営や幸村社長の決断にスピード感ある対応が期待できそうです。今後はその環境の中での貴社の展望、未来予想図があれば教えて下さい。

幸村社長:今後のぱちんこ産業では、社会のニーズの変化に合わせて、よりエンターテインメント性の高い安全に遊べる環境の提供が重要だと考えています。弊社もそれを踏まえ、お客様満足度の向上、 社会貢献活動の推進が重要と考えます。ハード面ではデジタル技術の活用や環境配慮も含めた持続可能な経営への取り組み、ソフト面では従業員のスキルアップやモチベーション向上を重要視して業界発展の一翼を担えればと考えています。 

DMM:ありがとうございます。先ほどもお話にあがりましたが、幸村社長の修行時代も含めて、人のスキルアップへの力の入れようは素晴らしいですね。松下 幸之助氏の「企業は人なり」という言葉が思いおこされますね。今後、店舗展開や他の事業も視野に入れつつ規模の拡大などはお考えですか?

幸村社長:今後、アミューズメントも他の事業も拡大していければと考えています。先ほども触れましたが、元々は飲食業がルーツでしたので、これは是非やりたいと考えています。今はMIRAIでも色々な方と情報交換ができるようになりましたので、同じ業を通じて知識を得る事もできますし、貢献しつつ地元から元気にしていければと考えています。

DMM:ありがとうございます。どの事業も「人」が礎ですから、その改革をされた幸村社長であれば期待できますね。今後に期待しております。

編集後記

世襲の多い業界内でも、後継者候補でない状況から後継者になるという異色の経歴を持つ幸村社長。

身内の企業でもアルバイトから10年近く一般社員として勤務して、苦労と経験を重ね人の痛みを知るからこそ、金融機関は当時の役員ではなく幸村社長に融資の確約をしたのかもしれない。

休日は自ら船を操縦し、従業員との船釣りを楽しむなどアクティブな趣味を楽しんでいるそう。

近い将来、ルーツの飲食業進出も計画しているそうなので、アミューズメント同様に色々な角度から「人を愉しませる」新世紀観光の動向に注目したい。

 

          

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